村上友里
JR埼京線の電車で2020年10月、女性に痴漢をし、逃走する際にけがをさせたとして、強制わいせつ致傷罪に問われた会社員の男の被告(43)に対する裁判員裁判の判決公判が1日、東京地裁であった。野原俊郎裁判長は「走行中の混雑した電車内という逃げ場のない状況で犯行に及び、卑劣だ」として、懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。
被害にあったのは、犯罪被害者の支援に関わってきた青木千恵子弁護士(45)。その日も被害者支援の関係先に向かう道中だった。
判決によると、被告は20年10月6日午後7時10分ごろ、十条駅(東京都北区)から赤羽駅(同)までの間、青木弁護士のワンピース内に手を入れ、お尻を直接触った。さらに、赤羽駅のホームで、青木弁護士につかまれたバッグを強く引っ張って逃走しようとし、青木弁護士を転倒させて右足に約3週間のけがを負わせた。
被告は公判で「隣にいた男性が痴漢をしているのを見て、自分も触りたいと思ってしまった」と説明した。
青木弁護士は自らの経験から、「性犯罪被害を訴えやすい社会ではない」と実感し、判決を機に名前と顔を明かして会見することにした。
判決後の会見では「性犯罪に遭うことは恥ずべきことではない」と述べた上で「手を差し伸べてくれる人がいるということが本当にありがたかった」と話した。(村上友里)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル